光に溺れ闇と踊れ

日々の怒りや嘆きを文章にしていきつつ、SHINEな国に抗う、そういうブログ

大阪万博報告書がひどすぎて気が遠くなった話

<万博>格差や精神疾患を「主なゴチャゴチャ」…関西弁版(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170314-00000005-mai-bus_all
ここで一番問題なのは

さらに、現代社会の課題とされる格差や精神疾患、環境破壊などを「主なゴチャゴチャの例」とひとくくりに記載した。

の箇所なんですが、この関西弁版は8ページ目にある表のことでしょう。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoryu/hakurankai/pdf/003_04_00.pdf

読売の報道は最悪だったことも付け加えておきます。

「大阪の人でも使わない」関西弁で万博報告書(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170314-00050005-yom-soci

万博の開催意義などをわかりやすく伝えるのが目的としているが、万博を「人類共通のゴチャゴチャを解決する方法を提言する場」とする表現などには「センスがない」(大阪府幹部)との指摘も出ている。

 開催意義を訴える項目のうち、日本の予防医療技術の高さに触れた部分では「よその国は日本の課題や対策の成果をパクリながら対策を考えているっちゅうわけや」と記し、基本理念の骨子案には「骨ちゃうで、骨子やで」との注釈を付けた。

 検討会に出席した委員からは「つまらないボケが気になる」と批判も。松井一郎知事は「大阪の人でも使わないコテコテの大阪弁は見直してもらいたい」と述べ、表現の修正を求める考えを示した。

あの産経ですら

「ゴチャゴチャ」の例にはほかにもテロや移民排斥などを列挙。英語表記の後ろに「横文字苦手やけどな」と付記した部分もあった。報告書案の冒頭には「こんな言い方せーへんとか、細かいこと言わんといてな。とにかく大目にみてくれると助かるわ」との断り書きを挿入していた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170314-00000103-san-pol

と書いていたので、つまりのところは読売は産経以下ですな。こんなことでもあんまり誉めたくないけど、それでも本当にひどい。

とりあえず、原典にも当たってみました。

2025年国際博覧会検討会 報告書 (案) 平成29年3月
PDF版
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoryu/hakurankai/pdf/003_04_00.pdf
テキスト版
http://www.meti.go.jp/interface/honsho/search?q=cache:G_w0JEisegYJ:www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoryu/hakurankai/pdf/003_04_00.pdf+大阪万博&client=meti&output=xml_no_dtd&proxystylesheet=meti&ie=UTF-8&site=meti&access=p&oe=UTF-8

既に他の人の指摘があがっていたが、この「万博の方向性」の事業展開面4(14ページ目)における④日常にはない出会いが生まれる の箇所がものすごくひどかった。言っておくが、これは編集を一切加えていない。(強調部分は筆者によるもの)

国境、民族、言語等の壁を越えて、将来にわたり同じ地球で生きていく「地球市民」としての意識をもつには、多種多様な人々との交流が重要であり、そうした交流は、異なる価値観への相互理解、新しい出会いによる友情、恋愛、ビジネスパーソンの人脈構築などを生み出していく。しかし、同じ時・同じ場所で偶然巡り合っても、人々の交流は中々生まれない。そこで、自動翻訳技術の進展を活かして言語の壁を取り除くとともに、交流を促進する仕掛けを企画する。
(展開例)
・万博婚
数千万人が来場する万博で、遺伝子データを活用したマッチングなど、新しい出会いを応援する。また、万博会場で、結婚式をあげることも可能とし、幸せを来場者にお裾分けする。

・初対面の人達と遊び、住める万博
来場者は簡単な性格診断の後に、勇者、魔法使い、医者などの仮想のキャラクター(役割)及びコスプレ衣装をあてがわれる。初対面の人とグループを組むと有利に各種イベントを進めるようにすることで、新たな気づきが得られる出会いを演出する。

また、多種多様な民族の男女が一つ屋根の下で一定期間住むことができる住環境を万博内に設定する。そこでは、異文化の人々が織りなすドラマが繰り広げられ、それはドキュメンタリーとして放映される。

ひどい

いくら世界情勢がひどくても「日本ほどじゃないっすよ、アハハ…」としか言い返せない、それくらいにはひどい

しかし、さらに読み進めていくとこういうものがあることが分かった。

2025 大阪万博誘致 若者 100 の提言書
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoryu/hakurankai/pdf/002_04_s01.pdf

見たらわかる、これ一番アカンやつやん…。その中で、特にひどいものをピックアップしていきたいと思います。
カッコ内が本来の名前です。

  • 26番:司法の怠惰や捜査ミスは取り上げない方のやつ(執行の日)

死刑囚の半生をモニター越しに観ることが出来て、それが終わった後に『各々で一つずつ設置されたボタンのそばにたつ。合図とともにボタンを押すと「ガコン」と音がなり事は終わる。』っつうことだそうです。

『死刑制度によって私たちは公的に死を与えることができる。しかし、私たちはその事実に対しあまりに無頓着だ。「執行の日」では万博史上最も重く、そして最もセンセーショナルに「死刑」が問われる。』

これ、糸井重里が書いたんじゃねえのか?と思ったけど、メンバー内にはいませんでした。にしても、おっそろしいな。東海テレビの袴田さん冤罪事件ドキュメンタリーを流したりとか…そういうことはしないと。

これ、死刑廃止になった国(や州)、冤罪(本来の意味での)や刑の歴史については一切触れないタイプのヤツだよね。そして畳み掛けるように

  • 27番:ミニ遊就館(覚悟の手紙)

特攻で亡くなった若者の手紙を展示するそうです。やりたいことはミニ遊就館だよね。散った命は最後に何を思っていたのか、ということをアピールしたいそうですが、えっと、殺したのって誰だったっけ…?

そういう手紙って、強制的に書かされたり検閲されたものもかなりあったりするんだけれども、これ、絶対ピースおおさかを呼ばないパターンだよね。呼べよ。

  • 「4.多様性に感動する万博」のほとんどの内容

…感動って…。

ここで提示されている多様性なるものの例には以下のものは含まれていません。
・移民
・原住民
在日韓国人
・在日朝鮮人
・人権
・給与格差
・いろいろな格差
・差別全般
・具体的な政策

…つまりはそういうことだ!その中にはこういうものがあった。

  • 62:次はLGBTの活用(What's gender have to do with marridge)

「結婚を認める」「応援していく」
…多分それ以外は排除だろうね

  • 63:難民風体験は難民じゃねえ(夜空の下に広がる難民キャンプ)

パビリオン内にあるテントに星空が映し出され、一晩を明かすことで難民キャンプに暮らしている人へ想いを馳せるそうです。

…ただのキャンプじゃねえか!
これ、いかに日本政府が難民を排除しているか、ということは絶対に展示しないやつだよね。あとはそもそも世界で起こっている戦争とか人権侵害とか経緯とかさ…

  • 64: SHINE!輝くOSAKA(Female Voice)

日本の男女格差ランキングについてはさらりと触れるものの、『万博の構想を話し合ってゆく上で、女性からの視点がなくては、万人の感動を生めるはずもない。』『日本が世界に遅れをとる分野は、“女性の社会進出” ではないだろうか。国際博覧会検討会の女性検討委員を半数までに増やす。それを皮切りに、女性がもっと社会に進出し、輝いていけるように。』という見事なSHINEな女性活用っぷりを見せつけてくる。
にしても、感動って…。

  • 76番:日本は天皇を中心とした神の国(やおよろず☆ぼーと)

八百万の神バンザイ、伊勢神宮はバンザイ、そしてヘリポートをそれモチーフにしたものにしましょう、ということらしいそうです。

『多様性を保ち、互いを認め合う社会を成り立たせる。その答えはお伊勢さんにあるかもしれない。』とありますが、その伊勢神宮の商売を担う赤福の元社長は差別発言を数度したり、サミットで大幅赤字を出して今後数年間の県の予算大幅カットであったり、そもそも神社ってもっとも多様性から遠いものじゃないのか?

キリが無いのでここで終わる。

…そもそも、五輪によって国はさらに壊滅的になるだろうから万博は返上するかもしれないし、それまで生きているかも分からんけどな!ジャンジャン!