光に溺れ闇と踊れ

日々の怒りや嘆きを文章にしていきつつ、SHINEな国に抗う、そういうブログ

性暴力の「消費」が「被害」より先に出てきてしまう社会について

前置き

※この記事は、具体的な性暴力に関する内容について記載・引用しています。あらかじめご了承ください。

これはかねがねから懸念していたことだ。例えば、通勤で仕方がなく使っている東急線…(そう、あの悪名高き「(女の)化粧はみっともない」広告が今でも貼られているあの東急線である)…にせよ、鉄道会社は女性に冷淡だ。「そういう意図はない」とか聞きたくない。中吊り広告にせよ、安全にせよ、冷淡だ。

一番冷淡なのは「痴漢・盗撮被害」についてだろう。基本的に全部自衛丸投げであるから。そりゃあ、「痴漢は犯罪です」という定型文はあるし、監視カメラはつけている。が、姿勢としては自衛を一方的に呼びかけるものが非常に多い。それを論じる際にも、何故かジェンダー関係者のところをすっ飛ばして持論を述べたりする人に行くのも地獄である。

性暴力の消費行為がもたらすもの

ところで、AVで「性暴力」というと何を思い浮かべるだろうか?リアルな暴力?それとも虐待?あるいはバッキー事件?それもあるが、望まない性交渉、痴漢や盗撮なども性暴力だ。「相手の意思を無視して踏みにじる」ことが暴力であれば、それらは性暴力だ。

ところが、まずそれらを検索して出て来るのは何か?アダルトビデオだ。そういうコンテンツだ。もちろん、これは全部演技の上で成り立っていて、「あくまでフィクションである」ことが前提に成り立っている。しかし、検索して先に出てくるのが『性暴力の支援』を求めるものではなく、『性暴力を美化したもの』しか出てこない。つまり、性暴力の「消費」が「被害」より先に出てきてしまう。それも圧倒的にだ。

例えば、数日前「実在する番組のカメラクルーになりすまして女性に性暴力を奮った」という事件が起きた。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20161205-00000049-nnn-soci

『容疑者は、実在するテレビ番組のスタッフと偽り、「撮影に協力してくれませんか」「もう少し露出しないとギャラもらえないよ」などと声をかけ、わいせつな行為をしていたという。容疑者は警察の調べに対し、容疑を認めている他、余罪についてもほのめかしていて、警察はさらに調べることにしている。』

しかし、この手の手法はアダルトビデオでありがちなものだ。そこで出て来る職業は多種多様(女子高校生、大学生、職業別、人妻など)であれ、パターンは「テレビ番組・雑誌のインタビューだとして連れ出し、謝礼で釣って最終的に行為に及ぶ」というものになる。無論、そういう設定でロールプレイであるが、何故かそういう作品に限って「※実際に行うと犯罪です」だとか「※全てフィクションです」というものが無い。

では、アダルトビデオがこのような性犯罪に駆り立てたのか?それは分からない。それがなくても、日本は既にミソジニーで成り立っている国だから。だが、そういう価値観を形成しているか?強化しているか?YES。

これはどういうことなのか?

性暴力ロールプレイがもたらす影響

性暴力のロールプレイは、性行為の強要や痴漢、盗撮モノなどいろいろあるにせよ、全てまとめて言えることは
・容易にアクセスできる
・その影響を過小しすぎている
ことだ。

・容易にアクセスできる
全て例に挙げたものは、探せばすぐにアクセスできてしまう。レンタルビデオ店でも、それは同様だが、ストリーミング配信によりさらに見つけやすい速度が上がってきたように思える。そして、アクセス「できてしまう」というのは国内に限った話ではない。

業界も海賊版対策をしているとはいえ、それ以上に海外に流出しまくっている。つまり、「消費しても毀損してもいい」というイメージだけがどんどん先行していて、それを後押ししているのが現状だ。クールジャパンよりも浸透しているだろう。それは悪い意味でだが。「海賊版は犯罪です」だけしか言わず「このような行為を真似するな」とは言わない以上、残念ながらこの流れはまだ止まらないだろう。

・影響を過小しすぎている
上でちょっと書いたが、「望まない性交渉は犯罪で、性犯罪は性犯罪だ」というものが全くない性暴力のロールプレイを推し進める、ということは端的に言うと地獄そのものだ。ヘル日本。

何故日本では「痴漢」がものすごく多いのか?アダルトビデオの一つのジャンルになってしまっているのか?何故性暴力と認識されないのか?それは「性暴力のロールプレイは悪いことではない」という認識が時間をかけて根付かされてしまったからだろう。

それではどうすればいいのか

「規制すればいい」とは一言も言っていない。上が規制をするのは様々な理由がある。天下り先を作りたい、仕事をしたことにしておきたい(実際に仕事をしたこととはまた別)、みかじめ料を貰いたい。が、そこに「人権を侵害しているから」というのはまず無い。ましてや、もし警察やショップなどにAV女優の情報を管理させる、ということであれば間違いなくひどい二次被害が起きる。だって警察だよ?このブログを普段読んでいるみなさまならおわかりの通り、警察がどれだけひどいことをやってきたか、ということを考えると絶対に任せられないからね?

しかし、何もしないのは間違いだ。「業界はクリーンです」という嘘を流し続けて、バレたらしれっと削除、過去に国家レベルで行った「従軍慰安婦(Sex Slave)」のことを矮小化する業界側をほおっておくと、今と同じことを続けるだけだ。「法律に違反していない」からといって、抜け道を作る人がどうして人道のことを考えられよう?

(続きます)